先日奈良市観光戦略課の方から連絡があり、奈良市が出版する本に載せるため、昨年韓国公園についての感想文を提出するように言われました。
せっかく長々と書いたので、ブログにもUPしますね。
以下、奈良市に提出した感想文です。
韓国、慶州ダンスフェスティバルについての感想
今回奈良市韓国戦略課の方々から出演の依頼を頂き、初めて韓国を訪問致しました。
今回の公演につきましては、親善大使というお役目を果たす為、通常バレリーナとして活動しているメンバーと演目では文化交流にならないと言う事から、この慶州のイベントの為に一からメンバー、演出、構成、振り付けを行いました。
一番気を使ったのはメンバーの選抜。
何か新しいものを創造する時、私が一番気を配る事は人の相性と配置です。
相性と言うのはここではセンスの問題になるでしょうけれど、世界観をお互い分かり合える人を組み合わせる事で自ずとリハーサルの雰囲気がプラスのイメージになると思っていますから、先ずはこのイベントにピッタリの人たちを選ばなくてはなりませんでした。
実際良く知っているメンバーが半分ほど、、、そしてその他の人は自分から進んでスカウトする事にしました。
今流行りのソーシャルネットワークで奈良市にゆかりのある優れたダンサーを探し出しましたが、遠方なので、何とネット上で作品を作り始めました。
なぜなら半分以上のメンバーは東京、そして奈良で作品を創れたのは私を含めたったの三人、、、一緒にリハーサルする事は不可能でした。
この新しく立ち上がったメンバーは様々な他ジャンルのアーティストから構成されていて関西メンバーはクラシックバレエ、男子新体操、東京メンバーからはコンテンポラリーダンサーと和太鼓奏者、
このそれぞれのカテゴリーの人間たちが一つの舞台に向けてネット上情報交換し、テーマを決めて作品を作り始めました。
奈良市の方々はこんな感じで本当に作品が出来上がるの???
って不安そうだったのを鮮明に覚えています。
ただ、私のなかなかで確信があったのは自分たちは距離を超えて信頼関係で繋がっているって言う事。
東京メンバーのリーダーの青山君に会えたのは出発前日の日でした。
彼が連れてきてくれたメンバー達ともまさかの初対面。
でも初めて会う気がしなくって、、、
やっと会えたね。。。
はじめまして、、、
よろしくね。。。
って満面の笑顔で会えた事、これも私の中ではとても印象的
これから始まる事が楽しみで仕方なかった。
そして出発当日韓国に到着した時から最終日のカウントダウンが始まった事に既に寂しさを感じている自分がいたのも確か。。。
やっと会えたのに、
やっと一緒に踊れるのに、
もうお別れする日を残念に思う自分がいました。
ここで出会った仲間はプロ、アマチュア、アーティスト、フリー、 選手、学生、カテゴリー分けしてもまとまりが無く、男性女性も半々ってところ、出身も違う。
でも目的は一つ。
日本と韓国との友好親善
実は私は韓国の歴史が大好きでイロイロ知っている。
なので慶州が善徳女王のゆかりの場所だと聞いて是非訪れてみたいって思いました。
奈良のチームなのに奈良らしい作品をしないの??
と言う質問に対してためらわずに答えた事。
素敵に創って良かったら、後でそれが日本の奈良のチームだったって感じでいいんじゃあ無いかな。
私は日本の伝統芸能の伝達者ではないので現代人代表として新たに奈良から発信出来るものを創らなければ自分が出る意味がない。
そんなこんなでこのチームは今までにない唯一無二のメンバーで構成された。
こんなに他ジャンルでも仲良くなれる。
一つになれる。
そんな私達を奈良市観光課の方々がサポートしてくださり、
そして現地では、慶州市の皆様が快くサポートして下さった。
公演では慶州市の市長さんや慶州エキスポ実行委員長さん、韓国の日本総領事館館長さんなども見にきて下さり、私達メンバーをとても歓迎して下さりました。
メンバー達とも日々経つごとにどんどん仲良くなり現地の通訳の方もすっかりチームの一員になっていた。
日に日に韓国語を覚えていくは移動のバスなどでみんなで覚えたせいだ。
毎朝のフリーなリハーサルにみんなが来ている安心感があり、
楽屋での他愛も無い話にいつも笑があり、出番前のガッツがあり、
一回目の公演の後の心地よいぐったり感があり、
二度目の公演の緊張感があり、
一日終了後の開放感があり、
自由時間にはカメラマンのJackの撮った写真を見てみんなで盛り上がる。
ご飯はいつもみんなで一緒に食べるけれど、いつも座る場所とかはまちまち、その時会話していた人との延長で気楽にご飯を食べる。
団長の私からみれば皆さほどお互いの空気を読んだり気を使ったりはしていないようだ。
正に自然な感じ。
心地よかった。
そして刻一刻、素敵な時間を過ごし、折り返し地点でのメンバー達は、やはり最終日の事を考えるとさみしいと言う声がちらりほらり、、、
最初から私が感じていた寂しさを、メンバーからも聞くようになった。
韓国側の対応はと言うと、本当にきっちりとしていて皆様本当にフレンドリーでしたし、音響さんや照明さん、舞台監督の方々もとても素晴らしかったです。
この韓国の舞台があったから得れたもの、
本当に沢山ありました。
もしかしたら一生会わなかったかもしれない人との出逢い。
それがどれだけ自分たちにとって素晴らしい思い出を作れたかを考えると、感謝しても仕切れません。
一番素晴らしかったのは10人足らずのメンバーで30分のスペクタクルを無事に10本成し遂げれたこと。
構成上随分キツイ振りだったので、メンバーの体力が持つかどうかが心配だった。
一人でも欠けるとこの舞台は成り立たない。
だからメンバーの中ではプロだ学生だの言ってる場合じゃ無くて
たどり着いたのは、全員かけがえのない大事な仲間だったって言う事。
お互いが尊重し合い、必要とし合ったから、今回超えれたジャンルの壁、年齢の壁、男女の壁、格差の壁、
このメンバーだったから超えられたと信じている。
国境の壁。
言葉のない世界だからこそ、一目瞭然に、
私達は日韓と言う国境を超えて、今回少しだけ近くに感じることが出来たと思う。
未だ未だ日韓には歴史と言う大きな壁がある。
けれど過去自分たちの先代がして来た事をより良い方向に持っていけるのも私達一人一人にかかっている。
私達は今、様々の壁を乗り越え一つ、一つの目標を確実にクリアして来た。きっと、きっといつの日かもっとより良い環境になっていけるはず。
だって私達が韓国で沢山の人に歓迎され、大切にして頂き、そして仲良くなれたのだから、、、
そしてこの韓国の公演のエピソードには続きがあって、、、
それはこの公演で初めて夢が叶ったと言った北村君、
彼の夢は海外で新体操をする事だった。
その後彼はこの経験を自信にして、オールジャパンで四種目金メダルを獲得、
そしてあのシルクドゥソレイユに合格し今年からマカオへ旅立つ事になった。
彼はこの公演がなければきっと今の自分は無かっただろうと言っています。
そして今年で新体操を辞めてしまうかもしれなかった野口君は新体操選手からアーティストの道に進む事を決意し、ユニバーサルスタジオジャパンで働く事になった。
そんなこんなで、韓国の公演は私達メンバーにとって強烈な印象と暖かい思い出で一杯になった。
この様なチャンスを下さった奈良市の皆さんと、韓国慶州市の皆様、そしてメンバー一人一人に心より感謝致します。
又いつかこのメンバーで作品を上演出来る事を願って、、、
高橋晃子